私の紅茶王 磯淵猛先生に贈るブログ

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十数年前、紅茶が子供の頃から好きだったのに紅茶のことを何も知らない、知ろうともしなかった時に本屋で出会った一冊の本「おいしい紅茶生活」。これが私の磯淵先生との出逢い。

鞄に入れ持ち歩き、何回も読みこんだ本。汚れてしまって写真で紹介するのが失礼なくらい・・・。
「おいしい紅茶生活」は紅茶にまつわる話から季節ごとの美味しい紅茶の入れ方まで紹介している、小さいのに読み応えのある本だ。なによりも磯淵先生の、みんなに気軽に楽しく、美味しい紅茶を飲んで欲しいという想いが伝わってくる。磯淵先生の本は何冊も読んでいる。いつも私が思うのは、紅茶を勉強するうえで大事なのは知識だけではなく、コミュニケーションツールとして生活にどのように活かすかが大事なのではないかということ。

直接磯淵先生の講義を受け、「紅茶以外の自分の好きなもの、得意なことを繋げて演出家になれ」と磯淵先生が熱く語られた時、型にはまったお堅いイメージの紅茶が、自分にとってとても身近で自由なものとなった。

初めはイギリスの上流階級の嗜好品だった紅茶。気軽に紅茶を飲める今の時代に生まれて本当に幸せだと思う。それは紅茶を庶民の飲料にし、世界中に美味しい紅茶を届けることに情熱を注いだ人たちがいたからだ。

磯淵先生の著書に「二人の紅茶王 リプトンとトワイニングと」という本がある。日本でも有名な紅茶ブランド。この二人もその時代に紅茶に情熱を注いだ人たちだ。

リプトンと言うと、あー、スーパーとかコンビニとかにあるイエローラベルのティーバッグね…と、普段紅茶を飲まない人でも知っている、知名度の高いブランド。日本ではあまりにも身近すぎて、あまり興味を持たれないイメージだけど、リプトンは歴史ある英国ブランドで今でも世界各国で愛され続けている。有名な青缶はセイロンブレンド(ヌワラエリヤがメイン)スッキリと飲みやすく、ミルクティーにも合う。お値段も手ごろなので機会があれば飲んでみて欲しい。

このブランドの創始者トーマス・リプトン発想力と行動力が、磯淵先生の本の中でとても魅力的に描かれている。生涯結婚もせずに商売にその人生を捧げた彼の夢と情熱によって、紅茶が身分に関係なく全ての人のコミュニケーションツールになったと、この本を読んで感じる。

「茶園から直接ティーポットへ」その当時のリプトンの広告。茶園を持ち自ら生産すれば、安くて安全なものが庶民に行き届く。コピーライターとしてのセンスも光る。磯淵先生がトーマス・リプトンの功績を伝えたかったのも頷ける。

トワイニング。こちらもスーパーやコンビニでも手に入る、日本でもとても身近なブランド。トワイニングはアールグレイの発明者と言われている。アールグレイも美味しいけど、私はレディーグレイがお勧め。黒い缶は何年も前のイギリス土産。日本のスーパーでは青い缶で売っている。

 

約300年前、初代トーマス・トワイニングから数えて今は9代目。イギリスの紅茶の歴史や文化を築き上げた一族。アールグレイは世界初のフレーバードティー。今でもトワイニングに限らず色々なブランドが作るくらい大人気の紅茶。世界中で愛されている。

磯淵先生は直接トワイニングの9代目サム・トワイニングに会って、その気さくでやさしいお人柄に感銘を受けた。私も磯淵先生に会った時がそうだった。紅茶を愛する人は大事にしていることが同じなのだと感じる。

リプトンやトワイニングをはじめ沢山の人たちのおかげで私たちは今、美味しい紅茶を自由に楽しめる。磯淵先生は二人を紅茶王と呼ぶ。私は日本の紅茶王は磯淵先生だと思うから、私にとっては三人の紅茶王だ。リプトンとトワイニングと…磯淵先生と。

紅茶が好きなら是非この本を読んで欲しい。

磯淵先生の突然の訃報に今でも悲しみは尽きない。でも磯淵先生の本を読めば、いつでも先生の精神に触れることが出来る。そう…。いつでも先生に会える。

そして紅茶を入れるたび、紅茶の楽しみ方を人々に伝えるたびに先生を思い出すだろう。そうやって磯淵先生はみんなの中で生きている。

私は人に紅茶を教える時、紅茶はコミュニケーションツールだと伝えている。大事にしてほしいことは「何を(どのメーカーの紅茶)」を飲むかではなく「誰と(繋がりたい人、自分でもいい)」飲むかだと。全てのご縁で私たちは生かされているのだから。

紅茶を通じて、磯淵先生を通じて出会えたご縁に心から感謝し、ご冥福をお祈りいたします。
磯淵先生、ありがとうございました。

みなさんは今日が最後の日だとしたら…誰と紅茶を飲みますか?

 

 

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